Technology

中古蓄電池を含む経年使用中の蓄電池の性能と安全性を電池システムに必ず備えられているBMSのデータを吸い上げて完全に電気的に分析・診断します。

リチウムイオンバッテリーの解析

リチウムイオンバッテリーは正極と負極との間をリチウムイオンが移動して充放電を行います。リチウムイオンは充電時には正極から負極に移動し、放電時には負極から正極に移動します。そのため、正負極のリチウムイオンの含有量は充放電すると変化し、同時に正負極それぞれの電圧もリチウムイオン含有量に応じて変化します。電池の電圧は正極電圧と負極電圧の差として現れるので、正負極のリチウムイオン量に依存して決まる経年変化しない物質固有の電圧ポテンシャルを利用して充放電電流と電池電圧を解析すると正極・負極の状態を知ることができます。

データ収集

BMS:バッテリーマネージメントシステムはリチウムイオン電池の充放電を管理し過充電や過温度による熱暴走を防止し、低温や高温で充放電することにより受ける電池のダメージを防止するために全てのリチウムイオン電池システムに備えられています。そのため、BMSは電池システムの全ての電池の電圧、温度、電流を測定しています。電力貯蔵用蓄電システムに関する国際規格IEC62933-5-2、JIS C4441ではこのBMSの測定データをインターネットを介して情報を上げることが求められています。この既にある仕組みを利用して分析に必要な情報収集を行います。必要になる機器はBMSの吐き出すデータを収集するエッジデバイスとインターネット回線だけですので、特殊な装置を必要としないため、非常に安価に電池状態を分析することができます。

使用履歴データは不要

電池の電圧は正極・負極の物性に関する特徴が現れます。診断運転を行いその時の電池電圧変化を分析することで電池セル内部の正極・負極の容量および運用窓を計算します。使用する正極・負極の物性は劣化や使用方法によって変化しません。そのため、過去どのように使われたかの情報は診断に必要ありません。どのように使われた電池であっても分析し、その時の正極・負極それぞれの状態を明らかにすることができます。